市内までJRで向かい、途中で広電(路面電車)に乗り換える。
風情があっていいねぇ。
そういえば、都電荒川線は乗ったことないなぁ。
10:10、原爆ドーム前到着。ネットやテレビでは何度も見たが、実物を見ると心がざわざわしてくる。祈念碑の前で手を合わせ、原爆被害者の安らかな眠りを祈る。
ここで母親から電話がかかってきた。
今、広島が大雨による土砂崩れで大変なことになっているらしい。
それが心配でかけてきたそうだ。
いや、そんなの知らんけど……。雨も降ってないし。
10:30、市内を歩き回る。昼食は広島風お好み焼きだ。混み始めそうな昼食時から少し早く動けば、との算段である。
そう思って、るるぶやらGoogleマップを駆使しながら移動していたのだが、目を付けていたところが軒並み休みや夕方開店ばかり……。
歩く途中に偶然、爆心地だった島外科内科の前を通りかかる。
こんなところで爆発した爆風が、結構離れた先の建物を原爆ドームにしてしまうなんて、どんな破壊力だ……。
散々歩き回って、広島駅ナカのお好み焼き屋(麗ちゃん)にたどり着いたのが12:30過ぎ。そして、並んでお好み焼きにありつけたのが12:55。2時間も何やってたんだ……。
■広島駅ビル アッセ 2階 「麗ちゃん」
飢餓感MAXだったおかげもあるだろうが、お好み焼きは旨かった。
注文したのは「スペシャル+そば又はうどん入り 生イカ・生エビ」1,270円。
結構なボリュームだったが、一気に平らげてしまった。
地元民にはイカ天(おつまみの乾き物)入りが人気らしい。想像しただけで旨そうだ。
13:30、竹原に向けて広島駅を出発。幸運なことに、ここまで雨は降らず。土砂崩れの影響は北方面の電車にのみ出ているらしく、南の海岸線を通り竹原へ行くための呉線は無事だった。
快速と各停を乗り継ぎ、竹原へ向かう。
途中、半島部のど真ん中を何度か突っ切る形になるため、地形的には山の中のトンネルを何度も通ることになる。もし、この辺りで土砂崩れが起きれば、確実にこの線もストップするだろう。
15:15、竹原駅に到着。
やばい! もうデジカメのバッテリーが足りない!
残り20パーセントになってから結構撮っていたので、そろそろインジケーターが点滅を始めてもおかしくない。とはいえ、ここで撮影しないわけにもいかないし、駅前をいくらか撮影する。
■駅から外を見る
ここ竹原は、「たまゆら」シリーズの舞台となった場所である。
劇中に実際の地名が出てくるので、聖地としては大変分かりやすい。
駅舎を出てすぐの足下には「おかえりなさい」の文字。
この言葉は、テレビアニメ版第一期「たまゆら -hitotose-」のオープニングテーマのタイトルにもなっている。
■駅出口の足下
早速巡礼のエビデンスの一つ目を撮る。
駅前には全く人がいないということはないが、かなり閑散としていた。
私の田舎の佐賀県鹿島市も寂れた街だが、まだ栄えているような気がする。まあ、一応日本三大稲荷の一つ、祐徳稲荷神社がある土地だからな。
それはともかく、どこに行けば良いのか分からないし、せっかく観光案内処があるのだから入ってみよう。というか、まあ、案内所の看板の上に、でかでかとたまゆらのパネルが鎮座しているのが目に入ったから、というだけなのだが。
■たけはら観光案内処
案内処に入ると、基本的にただの案内処である。
たまゆらの絵が入った地図があったのでゲット。それ以外特に見るところもなさそうだったので、すぐに出る。出がけにたまゆら関連の情報が書かれたポスターがあったことに気づき、一旦は表に出たがまた入って確認した。
するとなんと、来年たまゆら劇場版4部作がスタートするとの記事が!
これは嬉しい。是非見に行かねば。
ほくほく顔で表に出ると、地図の通りに商店街を歩いてみた。
■商店街(あいふる316)
どういうわけか、まともに開いている店がほとんどない。
あれ? まさか、シャッター街……?
何となくうら寂しい気分になりながら歩いていると、営業中の書店の前に来た。
■書店前
たまゆらグッズの紹介ボードが置いてある。
やっぱり、良い町おこしなんだなぁ。しかし、アニメに興味がない人たちはどう思っているのだろう……。
とりあえず、先を急ぐため、書店には入らず通り過ぎる。
そしてももねこ様発見!
像まで建てるとは……。気合い入ってんなぁ……。
■ももねこ様
ももねこ様の頭を撫でて歩みを進め、地図に従って一旦商店街から逸れて、道の駅たけはらを目指す。
国道らしき場所に出ると、それらしき建物が見えてきた。
■橋の向こうに道の駅たけはら
近づいてみると、ここにもでかいたまゆらのポスターがあった。しかもテレビ版二期である。
ここにきて、建物が暗いことに気がつく。ん? 一部しか電気付けてないのかな?
おかしいと思いつつ正面に出て、私は愕然とした。
「8月20日(水)定休日」
はあ?
一月は大体30日ありますし、8月は31日あるわけですよ。
それが、ピンポイントでこの日が定休日って何なんですか!?
まあ、別に、どうしても見たいって場所でもないからね。
……こういう、細かい運はホント悪いよなぁ。悪運は強いのだが。
さて、もうしばらく歩くと、この旅二つ目の大きな目的である町並み保存地区に到着。
くそう、バッテリーに余裕があれば、数歩歩く度に写真を撮りまくるというのに……。
愚痴っても仕方がないので、聖地をメインに最エコ撮影を心がけることにして、できるだけ撮っていくことにする。
そして早速目に入ったのは旧笠井邸である。ここはたまゆらでもがっつり使われた場所。
詳しくはテレビ版一期をご覧ください。
■旧笠井邸
中に入ると、当たり前だが、ただの古民家である。
玄関を上がってすぐのところに小さなカウンターがあり、そこには事務員風のおじさんが座っていた。
畳を汚すわけにもいかないので、カート付きバッグを置かせてもらい、中を探検してみる。
■旧笠井邸1階
ちゃっかりグッズを売っている辺り、さすがである。
急な階段を上ると、アニメで見たままの光景がそこにあった。
■急な階段
■旧笠井邸2階
「ここの舞台であのへんてこな劇をやったのか……」とか考えながら回っていると、奥の部屋にたまゆらにまつわるものがいくつも展示されていた。
■たまゆら関連資料が置かれた部屋
作品への愛が感じられる。本当に素晴らしい。
階段を降りて、グッズが並べられている一角から缶バッジを拾い上げて、玄関付近のカウンターへ持って行く。
事務員風のおじさんは、薄ら笑いを浮かべる私を見て気味悪く思ったのか、にこりともせずに缶バッジの代金を受け取った。
いやいや、これでそのまま話も聞かずに出るのももったいないので、少しだけ話をしていく。
おじさんは町おこしNPOの職員さんだった。
NPO法人ネットワーク竹原
http://www.i-love-takehara.jp/tamayura/
たまゆらのことはちゃんと理解しているらしく、テレビ版の前にOVAを作成したのは松竹とNPOにつながりがあったからだそうで、当時はまだ市も興味を示していなかったそう。
そのことを話す頃には、おじさんも笑顔を浮かべ、誇らしそうだった。
「今年は大人しくしていますが、来年は、劇場版もありますし、もっと盛り上げていきますよ。祭りの頃にまたお越しください」
最初は愛想の悪いおじさんだと思ったが、別れ際にはなかなか野心の溢れた良い顔をされていた。是非、今後も身体に気をつけて頑張って欲しいものだ。
荷物を回収して、満足して表に出る。
さて、とうとうカメラのバッテリーのインジケーターが点滅し始めましたよ……。
やばい! 少なくともあと3カ所はカメラに収めなければいけないのに!
祈りながらとりあえず、カメラを寝かせて歩を進める。
それにしても、どこに行ってもずっと閑散としているのはどうしてだ?
写真を撮るには絶好のタイミングではあるが、こうも人が少ないと町おこしの成果には疑問を感じざるを得ない。
そして、聖地の一つ「茶坊たまゆら」のモデルになった「茶坊ゆかり」を見つけた。
しかし、営業している様子はない。残念。
■「茶坊たまゆら」のモデルになった「茶坊ゆかり」
16:20、ゆかり前でシャッターを切った後、失意のまま歩いていると、珍しく空いている茶屋を発見。その名を「花みづき」という。
聖地というわけではないが、スノーアイスとぷちもっちーなが気になったので入ってみた。
■「花みづき」
中には地元民と思しき人たちがカウンターを占領していた。
洗い物も片付けられていないようで、ちょっと尻込みしてしまった。
客の一人が私に気づくと、カウンターの一つの席を譲ってくれた。
それから客は一組一組と姿を消し、すぐに私だけが残った。
これはこれで気まずい……。
店員はおばちゃん一人らしく、ここで結構長居することになった。
話自体が面白く、なかなか出るに出られなくなったのだ。
まあ、思ったより時間は残ったし、旅の終着地点としては悪くないだろう。
■スノーアイス
■ぷちもっちーな
おばちゃんに聞いたところ、この町並み保存地区では、ほとんどの店が水曜を定休日としているらしい。異常に閑散としていたのにはちゃんと理由があったのだ。
花みづきも本当は休みらしいのだが、たまたま客の一人に開けてくれるように頼まれたから開けたらしい。こういう運の良さはあるんだよな……。
ちなみに聖地の一つ「ほぼろ」(お好み焼きの店)のモデルになった「ほり川」も水曜定休。
こりゃ、もう一回は来ないとダメだこりゃ。
あと、「茶坊ゆかり」は土日しか開けないらしいので、来られる方はご注意を。
すっかり話し込んで、店を出たのは17:25。一時間以上居たのか……。
陽は少しだけ落ちてきたようだ。18時過ぎに広島空港行き乗り合いタクシー(?)が出るらしいので、それまでに駅まで戻らないと。
その前に、あと一カ所だけ。日の丸写真館だけは撮らねば。
地図を見ながら探すが、なかなか見つからない。
ちょっと視点を変えてみたらすぐに見つかった。思っていたのとは違う角度で存在した。
■日の丸写真館
もう営業はしていないらしいが、店前のガラス戸の奥にはたまゆらのポスターやコミックが展示されていた。たまゆら殺人事件ってなんぞ(;´Д`)
最後に自動車止めのタケノコを撮って、デジカメの出番は終了。すげえ、なんだかんだぎりぎりまで保ったよ……。
■タケノコ車止め
ここまで撮った写真はおよそ900枚。最初からある程度のエコ撮影(こまめに電源を落とす)を心がけていたとはいえ、驚異的なバッテリーの保ちであった。
旅のお供に最適です。ペンタックス MX-1!
そして、いよいよ旅の終わりが近づいてくる。
竹原駅前の待合所で待っていると、少し大きめのワゴンがやってきた。
マイクロバスが来るものと思っていた私は、中から運転手の人が出てきて「乗らないの?」と聞かれてスルーしそうになった。
危うく乗り過ごすところだった……。
というわけで、30分弱の間タクシーに揺られて広島空港を目指す。
その車内で、二人の友人から私の身を案じるメールが来ていることに気づいた。
やっぱり、山の方は本当に大変なことになってるんだな……。
空港に着くと(これで1,000円は安い!)、チェックインだけ先に済ませ、お土産を大量に買う。
さすが広島だ。お土産のバリエーションがすごい。
以下、写真なし。
スイートポテトが中に入った「娘もみじ(こもみじ)」
→安い割に(590円?)数が多い(30個)ので、会社の土産に。ただし、個包装じゃないことに注意。配りにくくて後悔した。物自体は好評だった。旨かった。
もみじまんじゅうのやらかいやつ「生もみじ」
→自分用。ちょっと高い(値段忘れた)が、こしあん、つぶあん、抹茶の3種類全て旨かった。食感が素晴らしい。これはおすすめ。
「お好み焼きプリッツ」
→観光地によくあるご当地プリッツ。友達にあげたが、自分はまだ喰らってない。
駄菓子のソースカツを細かくしたやつ「カープカツ(勝つ)」
→広島カープファンが会社にいるので、ネタで買っていった。反応は上々だった。
「海軍カレー」「かきめしの素」
→自分用。米が切れて久しいので、新米を買って喰らおう。
他にも欲しい物は多々あったが、さすがに財布の中身が不安になってやめた。
散在しすぎも良くないね。
というわけで、空港の辛いつけ麺屋での食事を最後に、飛行機に乗った。
さらば広島! また来るぞ! できればまだ見ぬ恋人を連れて……。
そして……大雨による土砂崩れによって亡くなった方々へ、心からお悔やみを申し上げます。
まさか、こんなタイミングで大災害が起こると思わなかった……。
終わり。
ここまで読んでくれた方、物好きな人やね……。いえいえ、ありがとうございました!